これからもがんばりましょう!

これからもがんばりましょう!

Tさん断酒家族表彰状 ピンク花横
~家族~ T

「依存症」という言葉を知ったのは6年前、心療内科の先生からの紹介で、大石クリニックに主人と行った2011年の夏です。何の知識もなかった私達に先生は、「『依存症』は、生き方病といわれている。どう生きていくかを考える病気であると、ただ回復すると忘れてしまうから忘れ病ともいわれている、絶対忘れてはいけない病気」とおっしゃいました。「この病気は、まじめで向上心がある人がなる病気、自己中の人はならない…」という言葉に救われたり、「明日のことは考えない、今日一日今日一日と生きていって」という言葉は、これは大変だと思ったり、「回復には個人差があるから絶対比較はしないように、そして必ず回復するから、信じて、見守って」と、先生の一言一言に、私はただただ「はい、はい」と答えていました。クリニックは通院のみなので、入院と同じ状態をとるということで、すぐに月~土まで毎日3ヶ月通うことになりました。主人はそれまで7年仕事をしていない状態でしたので、まず毎日朝起きて先生に会いに行くというところから始まりました。今思えば1年休むが2年、3年…気がつけば7年。まきこまれているなんて全く思わず、私がひとりで何とかしてしまっている日々でした。そんな私は、週に1回の家族教室と、その日に先生とお話させていただくということで、新しい生活が始まりました。家族教室は、担当の先生方が前半30分くらい色々なテーマで「依存症」について教えて下さったあと、家族が、それぞれ近況などを話していくのですが、この依存症についての話…「本人を変えることはできないので、まず家族が変わりましょう。本人に関係なく家族が自分の幸せを」など。本当にわけのわからないことばかりで…。どうしたら、お酒が止まるのか、依存症が回復するのか、私が主人を治すんだと、その答えを知りたくて行っていましたから、先生方は、何をおっしゃっているんだろう?…と。本人の主人に「教室の先生方は依存症をわかっていないと思う!」などと言っている状態でした。2、3ヶ月たった頃だったと思います。ある先生が「Tさん、もう御主人のお話はいいので、ご自分のことを話して下さい。」とおっしゃいました。自分のこと…何もないのです。「主人を治します。主人が治ったら、幸せになれます。」でしたから、私を主語にできないことに気づきました。「まず家族は、自分で自分のことをほめてください。ハードル低くです。」という言葉に、素直にやってみよう!!と思いました。ハードル低く…朝起きただけで、えらい!ご飯を作って、えらいわ!と日々のちょっとしたことでも、自分をほめてみました。化粧をして、鏡の自分に、よし!きれい!と…。自然といい気持ちになりました。「『依存症』はまじめで向上心のある人がなる」と最初に聞いたことがよみがえり、家族の私も、~であるべき、~でなければならない、もっとできるはず…と心を固くがんばっていたのでは?と思いました。主人のことでつながったクリニックで、私が自分を知る、自分を見ることになっていきました。何といっても主人の世話をすることで生きてきていましたから、主人が大変な状態の方が、充実感というか達成感があり、回復すると、私自身は楽になるのに、その楽をむなしさに感じたり…色々気がつく日々でした。主人は、アップダウンをくり返しながら、通院を続けておりましたが、4年がたったころ、やはり一度入院して回復をした方がいい状態になり、久里浜医療センターに3ヶ月入院しました。外泊訓練で家族教室に参加した時です。「この病気は、ご家族は何もできることはありません。病気を正しく理解することです。本人ではなく病気と闘ってください。」この言葉の意味が、わかりました。入院で、主人と5週間離れて、客観的になっていたこともあったと思います。理解すると、楽になっていくことに気づきました。久里浜の退院間近に検査でガンが見つかり、県立ガンセンターで手術、無事退院の後、またくずれ、数ヶ月で一番ひどい状態になりました。シアナマイドを飲んでいる身体に、お酒を入れて苦しむのをくり返す姿に「病気なんだ」と、5年かかって、やっと理解しました。二人で断酒会につながる時期がきたのだと思います。クリニックの先生からも行くように、強くすすめられ、一昨年の9月例会に伺って「助けてください」と小さな声でお願いしたことを思い出します。今元気な声で心の誓、家族の誓を読ませていただいていることが夢のようです。ありがとうございます。お蔭様で主人は今、週5日クリニックに通いながら就労支援をいただいて、その内の週4日少しの時間仕事をさせていただき、ゆっくりゆっくり社会復帰をしております。講演会で、先生がおっしゃった言葉。「人がかけられないエネルギーをかけて生きていることに、誇りをもって生きて下さい」私もこの日々に誇りをもって、主人と一緒に心の健康を回復していきたいと思います。これからもよろしくお願い致します。