Cさんからの手紙

NO IMAGE

Cさんからの手紙

Cさんより
前略

大石クリニック相談員 鈴木達也様
 
 こんにちは、Cです。
 今回の事件の判決以後、平成23年9月8日に正式に刑が確定し、拘置所内で作業をしています。そして、私の出所日がはっきりと分かりましたのでお知らせしたいと思います、平成25年4月2日が満期日となりましたので、その翌日の4月3日が出所日となりました。
刑は確定しても、まだ、どこの刑務所に行くかは分かりませんが、移送の時はまた手紙でお知らせします。

 ともかく、今度こそは絶対に犯罪をしないようにする為にも、毎月の手紙を書く事と、出所後は大石クリニックに通院し自分自身の病気を治す事を裁判で約束しましたし、好き好んで刑務所へ行く分けではありませんので、何度も繰り返すわけにも行きません。
しかしながら、絶対に犯罪をしないとも言い切れないのも事実であり、自分でも辛い気持ちであります。 
ですが、それに負けない気持ちで前向きに進まないと、いつまでたっても今の自分でしかないと考えました。その為にも、大石クリニックへの通院は、私には一番大切な分岐点なのかも知れません。
そして、私が今考えている事は、何故このような犯罪をする自分になったのか、刑務所で書いて、大石院長先生に読んでもらおうかと思っています。

 今月・9月は手紙を出せて非常に良かったと思います。もしも7月のように手紙を出せなかったら、辛く落ち込むかも知れません。
それではまた、10月に手紙を出しますのでよろしくお願いします。
                     草々
             平成23年9月12日
                      C

Date: 2011/09/14/00:50:14 No.699

Re:収監者との文通

Cさんへの返書

C 様

前略
 9月12日付のお手紙拝読しました。ありがとうございます。
 今月もまたお便りを頂けて嬉しく思っています。昔から「継続は力なり」と言われておりますが、最初は困難な事でも、それを規則的に繰り返す事で困難を克服する力が生じるという意味なのだと思います。その力は、「慣れ」という言葉に言い替えられるかも知れません。継続によって「慣れ」が生まれ、その「慣れ」が継続を容易にするという循環があるように思われます。そして「慣れ」には、良い「慣れ」と悪い「慣れ」があります。例えば、犯罪慣れという悪い慣れがありますが、その逆の良い慣れとは、この犯罪を繰り返す悪い慣れを矯正し、犯罪を犯さず更生の道を歩み続ける生活への慣れだと思います。その良い「慣れ」を身につけてしまえばシメタもので、なんの困難もなく、当たり前のように犯罪を犯さない生活をズーっと続けられるでしょう。ですから、先ずはこの文通の継続によって更生への道の一つに慣れて頂ければと思います。

 お手紙の中で、「・・・しかしながらも、絶対に犯罪をしないとも言い切れないのも事実であります。そのように、自分でも辛い気持ちであります・・」と書かれていますが、それは過去の犯罪慣れという悪い慣れから来る不安であり、更生への道を切望している今日、自然に湧き起こる不安なのだと思います。つまり、更生・社会復帰に向けての歩みの中の一歩での自然な思いだと言って良いでしょう。お手紙では続けて、「ですが、それに負けない気持ちで前向きに進まないと、いつまでたっても今の自分でしかないと考えました」と書かれています。私も本当にそうだと思います。言い換えれば、過去の自分を反省して前向きに進むことで、過去の自分から卒業し更生と社会復帰への道を歩み続けることが出来るでしょう。そして、歩み続ける事への慣れによる力=継続による力がその道への歩みを容易にするでしょう。それが良い意味の自信につながり、気がつくと、また犯罪を犯してしまうかも知れないとの不安も解消されていることでしょう。
 私も大石で週に何回か、アルコール依存、性依存のミーテイングを担当させてもらっていますが、その中で、初診当初の再発、再犯への不安から解放されて、笑顔で回復への道を歩む多くの患者さん=仲間との触れ合いを続けています。

 不安からの解放!! それは、決して他人事、仲間事ではなく、私自身の経験でもあります。警察署に面会に行った時にもお話ししたように、私も元々は依存症(酒)の患者です。16年前にアルコール依存症との正式診断を受けた時、看護婦さんから「鈴木さん、これからお酒どうしますか?」と問われて、「もう、ここまで来た以上、酒は年貢の納め時だと思います」と一応はそう答えました。でも、それは本心の半分に過ぎませんでした。その時・その場で、それ以外の台詞が見つからず、一応はそう答えただけでした。本心の他の半分はと言えば、「昨日までの過去5年間、毎日毎日皆勤賞で一升酒を飲み続けて来たのに、今日から本当にピタリと酒を止められるのだろうか・・・????」との思い・不安でした。一方では、酒で仕事も金も失い、働ける身体・健康も失い、妻にも愛想をつかされ、別居を余儀なくされて、・・・本当に酒の年貢は納めねばならないのに、でも本当に止められるのかとの不安が初診の日の私の結論でした。しかし、初診翌日からのデイケア通院と自助グループ(AA)通いの中での断酒生活が始まり、それを継続する中で、いつしか、酒を止め続けられるのだろうか?との思い、不安は煙の様に解消していました。その時の思いは、「断酒の方法が見つかった、ミーテイングで断酒仲間の体験談から貰った力で断酒を続けられる。この方法で断酒を続ければそれが当たり前になり、又飲んでしまうのではないか??との不安は正に煙の様に解消してしまう」との思いでした。その思いを確信へと高めてくれたのは、やはり同じように断酒を続ける仲間の存在、その姿でした。
 その意味で、Cさんが今歩み始めた更生と社会復帰の道に誤りはありません。毎月の文通を続け、出所後は必ず大石に通院するという道に誤りはありません。私も、本当に微力ではありますが、お手伝いを続けさせて頂きたく思いますので、今後ともよろしくお願い致します。

 今回は、自分自身の体験も含めて書かせて頂きましたが、Cさんと依存の対象は違っても、依存症そのものの本質から来る治療の基本には共通する流れがあると思い、私の拙い体験を書かせて頂きました。

 また来月・10月のお便りを楽しみにお待ちしております。残暑は続いていますが、夏から秋へと季節の変わり目を迎えますのでお体にはくれぐれもお気をつけ下さい。
                    草々
       平成23年9月20日
        大石クリニック 相談員 鈴木達也

追伸
 このところ公私両面で多忙につき、9月13日にお手紙が着信してから1週間が過ぎてしまいました。でも、何とか書けてホッとしています。私もCさんに学び、「継続は力なり」をモットーにして、文通を続けたいと思います。

Date: 2011/09/18/16:27:05 No.703

Re:収監者との文通

goo.ne.jp E-Mail

Cさんはじめまして。
 私は、先月の9月1日に刑務所を出所してきたものです。私も収監中は、大石クリニックに手紙を出し、色々とご指導して頂きました。今は宇都宮の保護会で平日はパソコン教室に通い、休日は、仕事という生活を送っています。私は、恥ずかしながら、刑務所にも5回行っております。今までは、出所してから、2~3ヶ月くらいですぐ犯罪を犯し、刑務所に逆戻りという生活でしたが大石クリニックと出会い、何とか今は、何事もなく無事に生活しております。毎日、何かしていることも犯罪をしない要因n