NHKラジオ深夜便・アルコール依存症関連番組を聴いて
- 2007.12.07
- 体験談-アルコール依存症 依存症体験談
NHKラジオ第一放送は去る8月22日午前1時過ぎから約40分に渡って、インタビュー番組「定年アルコール依存症者を救え」を放送した。インタビューに応じたのは、断酒会発祥の地として有名な高知市・「下司病院」のアルコール依存症回復者職員・北村幸彦氏(63歳)である。北村氏は、自らが26年間に渡って断酒を継続してきたアルコール依存症患者であると同時に、下司病院職員=「酒害相談員」として26年に渡って同じ病気に苦しむ人々に手を差し伸べて来た方である。
北村氏はインタビューに答える中で、自身の生い立ちとアルコール依存症への経過、断酒への動機、断酒の喜びを語り、そういう自分の実体験を基にして、断酒による病気からの回復への確信を語り、この病気に苦しんでいる全国の人々を励まし、勇気づけている。 同時に又、日常の病院の仕事の中で、患者さんに同じ病気の仲間として接しながら、回復への希望と確信を患者さんの心の中に広げている北村氏の姿が目に浮かぶような想いがした。ラジオという音声のみのメデイアであるにもかかわらずである。それは、患者さんとの心の交流に「ウン、確かにそうだろう」と頷かせるものがあるからだろう。 北村氏は初対面の患者さんに、先ず自分も同じ病気の患者である事を告げるという。すると、その瞬間に患者さんの心の鎧(よろい)がスーっと溶解してしまうという。 そしてその後に作られる心の絆が患者さんの命綱となっていくのだろう。インタビューの合間に流された断酒会員の声が印象に残った。「北村さんに断酒会を紹介してもらったお陰でーーー今も断酒が続いています。北村さんの人柄のお陰です」 インタビューは最後に、終戦直後に生まれた団塊の世代の2年後の定年問題に触れながら、それによる定年アルコール依存症者の増大に警鐘を打ち鳴らしている。
かくいう私自身、アルコール依存症本人として大石クリニックで「相談員」の仕事をさせてもらっている。その立場から今回の放送を聴き、又、下司病院のホームページに掲載されている北村氏の寄稿文を拝読し、「相談員」という仕事の命は何かを教わったように思う。それは、患者さんから信頼される人柄、人間性だと思う。その点でまだまだ未熟な自分を反省せざるを得ない。今後、北村氏の後姿から目を離さずにこの道を歩み続けたいと思う。
大石CL・相談員
尚、下司病院HPについては当院HPリンク集より御覧下さい
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