収監者との文通  Aさんからの手紙

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収監者との文通

Aさんからの手紙

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及び、当掲示板N0.555以降の文通ページ参照

前略
 お手紙ありがとうございます。
ですが、またどこかですれ違ってしまいました。電話ももう少し経てばできると思います。その時は良いアドバイスなど頂けたらと思います。
 また仕事の情報誌や保護会までの交通手段など本当にありがとうございます。仕事の情報は日々読んでおります。仕事は掲載されていますが、私の年齢ですぐ仕事ができるのか不安です。何とか月収20万位のアルバイトでも良いので見つけて、資格取得の為のスクールにも通い、資格を取り、それから正社員の道へと進もうと思っています。しかし、もう一方では自分で何かを始めたいとも考えています。まあ、その辺りは、まず出所して日々の生活が落ち着いたらと思っています。
 今は目下、6月10日に実施される簿記2級の勉強に励んでおりますが、1週間くらい前からのどの調子がおかしく、せきも止まらず、工場の職員先生から、声も出ないので「今さら変声期か?」と言われる始末です。勉強も予定通り進まず、少々焦っています。どうしても平日は6:00~9:00前までしか勉強が出来ないので、そういう焦りもあります。何とか合格目指して頑張ります。もし、
最悪、不合格でも出所後に合格したいと思います。
 今、思い返すと勉強の仕方を間違えたと思います。通信教育の教材が非常に分かりにくく、時間だけが過ぎてしまったような気がします。今は体の調子を元に戻し、それから簿記のラストスパートに入ろうと思います。鈴木さんも、どうか体調管理をしっかりとやり、健康でいて下さい。
 「Just for today」の精神を忘れず、日々の生活をして行こうとまた強く思いました。これからも御指導よろしくお願いします。
 簡略ですが、様々な御礼の手紙をと思い書きました。本当にありがとうございました。また書きます。
 では失礼します。
                      草々
              
              平成23年5月21日  A

Date: 2011/05/26/23:15:32 No.652

Re:収監者との文通

Aさんへの返書

A様
前略
 5月21日付のお手紙拝読しました。有難うございます。
喉の具合はその後いかがですか? 多分、風邪だろうと思いますが、体調管理に気をつけて早く治して下さいね。
 
 6月10日の簿記2級の試験に向けて勉強の方も頑張っておられる様ですが、今度こそ合格できるよう横浜の空から祈っています。今、当地・横浜でで見上げている空はAさんの真上の空まで繋がっていますから、この祈りきっと通じるだろうと思います。
 でも、お手紙の中で「最悪、不合格でも、出所後に合格したいと思います」とも書かれています。これって、とても大事な心構えだと思います。必勝の思い、決意も勿論大事ですが、万一不合格だった場合でもその現実を受け入れる心の落ち着きと、そこから次への一歩を踏み出す気力と勇気、これさえ失わなければ、多少の時間はかかっても結局は前へ、前へと歩み続ける事が出来ると思うのです。そう思えば、焦りも和らぐのではないでしょうか。
 お手紙の中で「通信教育の教材が非常に分かりにくく、時間だけが過ぎてしまった・・」と書かれていますが、そのお気持ちよく分かります。勉強には「分からない」が付き物で、だからこそ学校や先生、参考書等が必要なのですが、今のAさんの生活環境ではその全てが不足しているわけです。しかし、それでも希望を失わず日々努力を続けているAさんの姿に敬意を表したいと思います。今の努力はやがて忍耐力という名の財産となって花開く時が来るでしょう。
 以上をまとめると、Aさんは今、失敗しても希望を失わない気力と勇気、逆境に在っても挫けず努力を続ける忍耐力を身につける日々を送っているように思います。試験に合格する為の努力が、他方では人間力の獲得に繋がって行く様に思えるのです。一石二鳥とはこの事を言うのでしょうね。否、一石三鳥かも知れません。つまり、ここで言う人間力はギャンブル・バカラ依存症の治療にも必要なものですから。

 最後に、今大石クリニックのギャンブル治療教育プログラム(マトリックスミーテイングと言います)で使用しているテキストの一端を同封し、ご紹介します。
 このテキストでは、ギャンブルについ手を出してしまうトリガー(引き金)の発見とそれを取り除く方法を提起しています。同病の仲間との絆の中でこの提起を実践し続ける事で、断ギャンブル・バカラの継続が可能となるでしょう。6月の試験が終わってからでもざっと目を通して、大石での治療をイメージしておいて頂ければと思います。

 もう間もなく6月を迎え、うっとうしい梅雨に入ります。喉の方も早く治して梅雨にも蒸し暑さにも負けないよう、もう一息の刑務所生活を乗り切って下さい。大石で笑顔でお会い出来る日を楽しみにお待ちしています。
                      草々

        平成23年5月26日
         大石クリニック相談員 鈴木達也

Date: 2011/05/26/23:25:40 No.653