収監者との文通 Bさんとの文通

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Bさんとの文通

収監者との文通

大石HPトップページ、
及び、当掲示板・投稿NO.555参照

①:=Bさんからの手紙=
②:=Bさんの誓約書=
③:=Bさんへの手紙=
④:=Bさんからの手紙=
⑤:=Bさんへの手紙」=

①:=Bさんからの手紙=

大石先生
 はじめまして。
 私は性犯罪を起してしまい逮捕されました。今は警察に全て正直に話し、これからしっかり反省して更生しようと思っています。
 私は少年時代に同じ様な事件を起して一度警察に逮捕されたのに、またこうして同じ様な事をしてしまい逮捕されました。少年時しっかり反省したつもりが時が経つにつれて忘れてしまっていました。今回こういう事件を起してしまっている時も罪悪感はありましたが、少年時の事はほとんど頭の中に無かったです。事件を起してしまった後に罪悪感がありもうやめなければと思った事もありましたが、自分を止める事ができませんでした。
 もう2度と同じ繰り返しはしたくないと心から思っています。しっかりした人間になり社会に戻りたいと思っています。そのお手伝いを先生にして頂ければと思います。よろしくお願い致します。
                        平成22年8月22日  B
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②:=誓約書=

医療法人社団祐和会大石クリニック
院長 大石雅之 様
 私は現在裁判を待って拘留中ですが、判決後服役する事になっても、貴院が開設しているホームページを経由して交換の手紙を必ず書き、反省の気持ちを持ち続け、更生できるよう努力致します。
 そして出所後は、貴院における週1回の性依存症治療を欠かさず受けると共に、治療経過・結果は弁護士の先生には3ヶ月毎に、父母には毎週報告する事を誓約致します。被害者が希望される場合には、被害者に対して貴院から出して頂いた通院証明書を示し、治療経過・結果を報告致します。
                         平成22年9月4日 B

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③:=Bさんへの手紙=

B様
 前略
 はじめまして、私、大石クリニックにて相談員(文通担当)をしております鈴木達也と申します。以後よろしくお願い致します。
さて、この度は院長宛のお手紙を頂き有り難うございます。誓約書も拝読致しました。お手紙に書かれている今の思いを忘れずに、誓約書に書かれた道を歩まれますよう心から期待しております。
 「少年時代の事件をしっかり反省していたつもりが、時の経過の中ですっかり忘れていた」とお手紙で書かれています。依存症という病気は忘れる病気と言われています。治療せず放置すれば、辛さを忘れ目前の快楽のみを求めて突っ走ってしまうのがこの病気の特徴の一つなんですね。どんなに強い意志や理性の持ち主でもこの病気の魔力には勝てません。ですから、普通の人間らしい幸せな生活を送りたいと思ったら、どうしても治療・回復が必要になる訳です。
 当院では、Bさんのような方々―即ち、司法施設に収監されており依存症専門病院での治療が不可能な方々の為に文通方式を採っております。その具体的な内容について、当院のホームページ内BBS掲示板「あおいくまの部屋」よりコピーしてご紹介します。
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大石クリニックより
当院では、各種依存症を原因とする犯罪にて各種司法施設に収監されている方々の依存症治療・回復を心から願い、収監者の皆さんとの文通、及び、当掲示板にての文通の公開を行うことと致しました。
収監中の方々は、文通により過去の自己を見つめ直す事で人生の再スタートを切る切っ掛けと出来るでしょう。又、HP掲示板での公開により自分をより客観的に見つめ直す事ができるでしょう。公開はまたこの病気の真実=回復可能な病気である事を一般社会に向けて浮き彫りにする事ができるでしょう。その事が収監者の皆さんの心に社会的貢献感を生み出し、それも依存症回復への大きな糧となるものと確信します。
以下に現在、留置場、拘置所、刑務所、少年院等々に収監されている方々との文通内容を本人の同意の下に匿名にて公開致します。
                 ―BBS「あおいくまの部屋」:No.555―
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 以上ですが、当院との文通により、釈放または出所までの期間を確実な専門治療・回復への準備期間として頂ければお思います。
 お書き頂く内容は主として、依存症にまつわる体験談、今の悩み、相談事などですが、先ずは先般の8月22日付で頂いたお手紙と9月4日付の「誓約書」、および、この返書をHP掲示板に公開して文通のスタートにできればと思います。
 尚、文通の公開に際しては、お名前は匿名とします。又、文通は全て無料とさせて頂き、特にカウンセリング料のようなものは頂きません。Bさん側の便箋、封筒、切手代のみで結構です。
 最後になりますが、残暑がもう少し続くようですので、お体には十分お気をつけてお過ごし下さい。今日はこの辺で失礼します。

↓No.581へつづく

Date: 2010/10/24/17:07:20 No.582

Bさんとの文通

収監者との文通

④:=Bさんからの手紙(9/30付)=
 
はじめまして、お手紙ありがとうございます。
 私はこれから何年刑務所に収監されるか分かりませんが、しっかり反省し、償い、更生するつもりです。今留置所におり、これから刑務所に行く事を思うと不安もあり、辛い事も多くあると思います。しかし、それは全て自分の責任であり、自分を更生させる場であるので、しっかりやって行くつもりです。
 前回の手紙にも書いたように、「少年時の反省をすっかり忘れてしまった」
、これはきっとこの先刑務所を出所した時にも言える事だと思います。私は今まで刑務所に行った事はありませんが、辛く、苦しい場所だと思います。
 刑務所に入っている間、被害者の方への償いの気持ちを忘れずに反省する事はもちろん大事な事ですが、出所した後、私がどう生きて行くかが一番大事な事だと思います。刑務所でいくら反省しても、出所した後少年時のような反省では同じ繰り返しになってしまうと思います。私は出所した後、普通の人間らしい生活をしたいと心から思っています。
 これから鈴木先生に更生する手伝いをして頂きたいと思っています。よろしくお願い致します。
                     平成22年9月30 日   B
草々

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⑤:=Bさんへの返書=        

B様
こんにちは、大石クリニックの鈴木です。お母様を通してのお手紙(9/30付)頂きました。有難うございます。
ご自分の将来に向けての今の心境、決意がひしひしと伝わって来る思いで拝読しました。本当にお手紙に書かれている通りで、今の思いを忘れずに歩み続けて頂きたいと思います。
「・・・刑務所でいくら反省しても、出所した後少年時のような反省では同じ繰り返しになってしまうと思います。私は出所した後、普通の人間らしい生活をしたいと心から思っています」と書かれていますが、この思いこそが依存症治療のスタートになると思います。依存症の治療には、先ず「底つき体験」が必要と言われています。種々の依存症で言う「底つき」というのは、依存対象としての性嗜好、酒、薬物、ギャンブル、買物、・・・等々と断絶しなければ、心身両面の健康や社会・家庭生活を維持できない事に心の底から気づいて、治療と回復への道を歩む決意をすることを意味しています。今回復している、又は回復途上にある殆どの人々がこの体験をしています。そしてBさんも今刑務所生活を目前にして正にこの底つき体験をされているように思います。その意味で少年時とは違う反省が可能になっていると思うのです。そして、その反省は今後の治療の中でより確固としたものとなるでしょう。その治療は専門病院への通院によるカウンセリングや院内での同病の仲間とのミーテイング(体験談の交流)が中心的な柱となるのですが、Bさんの場合、判決次第では当面はそれが不可能となりますので、やはりこの文通のウエイトが重くなるでしょう。その意味で、今後当方から差し上げる手紙では性依存症の方々の体験談を可能な範囲と形でお送りしたいと思います。同時にまた、Bさんからもご自身の体験談をお寄せ頂ければ、当院ホームページを通しての匿名公開によって多くの性依存症者の方々への力となることでしょう。「転んでも、ただでは起きない」という言葉があります。性犯罪で刑務所に入っても、それを動機として自分自身の生まれ変わりと社会への貢献が可能となります。Bさんもどうかそういう道を歩まれるよう心から期待しております。
とりとめなく書き進めましたが、依存症は治療をあきらめない限り必ず回復し普通の人となんら変わらない生活が出来るようになる病気です。この事に確信を持って一日一日の一歩一歩を歩み続けられるよう心から期待し、またお願いして今日はこの辺で失礼します。又のお便りを楽しみにお待ちしています。
草々
            平成22年10月25日 
大石クリニック相談員 鈴木達也

追伸;
①Bさんの誓約書以来の文通内容を、
大石クリニックHP掲示板「あおいくまの部屋」にて、
<Bさん>との匿名で公開させて頂きました。この公開が、日本国中で同じ病気に悩んでいる多くの人々の心に「アッ、俺だけじゃないんだ!」 、「俺も治療できるかも知れない」との思いを広げるでしょう。
掲示板の画面を印刷して同封しますのでご覧になって下さい。自分で書いた文章でも、同病の仲間の目に触れていると思うと、また違った味わいがあると思います。
②お手紙の最後で、鈴木「先生」とされていましたが、私は医師ではありませんので、以後は「さん」でお願いします。

Date: 2010/10/24/17:03:46 No.581