ゼラニュム :デイ大石 塩谷一夫
- 2014.10.14
- 詩・俳句
先は花屋で買って来た。
安くて色がきれいで小さく、可憐に思えたので奮発してみた。
バスに揺られ、アパートの自室で包装をといて見ると、肝心の赤い花びらはあらかた落ちてしまっていた。
だが、この花にはまだ幾つかの蕾が残っていたので、水をやり鉢に入れた。二,三日過ったが元気だ。
たった一輪の赤い小さな花が部屋を賑わせる。愉快だ。
独りで住む広くもないアパートに静かに咲く。でも華やかに。
女人よりも可憐に咲く。
遠く過ぎ去った女達の声も聞こえる。
ゼラニュム。
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