自分の酒害体験  山田 茂

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=この記事は、横浜断酒新生会機関誌「かたらい」・第41号より同会、および筆者の同意を得て転載するものです=画像
  自分の断酒の切っ掛けは幻覚を見てしまった事でした。幻覚症状は禁酒をして一週間目に出てきました。その症状は人によりそれぞれ異なるようですが、自分の場合は「手」に出て来ました。手の指の間から虫が顔を出しては引っ込み、引っ込んでは出て来ました。払っても払っても出て来ました。自分ではどうしようもなくなり母親に言ってみましたが、案の定と言うか、当たり前と言うか母親には見える訳がないのです。そういう状態が3~4日つづきました。精神的にもどうしようもなくなり、何軒も病院を探した末に現在通院している大石クリニックにたどり着きました。
  その時の状態はと言えば、足というか膝にきていました。座ったらもう立ち上がる事が出来ませんでした。立っても足が前に出ず、ただ立っているしかなく、そのうちに後方に倒れる状態でした。よく後頭部を打たずに今日まで生きて来られたと不思議なくらいです。
  先ほど母親の事を少し書きましたが、この母親には惨々たる迷惑をかけてきました。兄弟が6人いますが、自分は最後まで母親と一緒に暮らしていました。他の兄弟は皆それぞれ世帯を持ち生活しています。よくバカな子ほど可愛いと言いますが、母親に怒られたこともなく可愛がられていました。その母親とは、酒が原因で兄弟によって縁を切られ音信不通となりました。
  今年の正月ようやく実家に帰ることが出来ましたが、母親は認知症で私の顔を判別する事が出来ませんでした。非常に残念です。もう少し早く帰れれば良かったと思います。これも、身から出た錆というか、自業自得です。もう母親の記憶は戻って来ませんが、これからの人生を酒無しで送り、母親に感謝し、兄弟とも元の様に戻れれば良いと思っています。
( 写真:「大石だより」にて編集~筆者の前途にあれ!! )