断酒5年
- 2014.09.11
- 体験談-アルコール依存症 断酒 表彰状
本人の決意
酒なくてなんの人生、酒さえあれば、辛い人生も乗り切っていける。疲れた自分は嫌いだ。男は強くなければいけない。
明るいいい酒だ。飲んでもしっかりした人だと言われて40年、酒とともに生きてきた。それがしだいに怪しくなった。酒は深く内側にこもるようになり、飲んでも気が晴れる事はなく、むしろ私の中の暗黒を、どろどろと引きずり出すものに変わっていった。生来の自分は影をひそめ、飲むために生きるようになって、私にとって酒は魔物になった。これではいけない。泥沼にはまり込んでしまったと、かすかに意識にのぼるものの、何もかも面倒になって、食事はとれずに、ただ酒ばかりが体の中を流れて行った。不安にかられた心を酒の中に流していくばかりだった。私は死にかけた。見かねた家人が両わきを支えて大石クリニックの階段を上らせた。やめるか死ぬかと医師に問われた私は、生きる道を選んだ。小利口な自分を捨てて、愚直なまでに医師に従うことに決めた。やめはじめた当初は頭が混乱して、自分の魂がどこへ行ってしまうのかと恐ろしかったが、それに耐えてクリニックに通い続けた。一年、三年と時が過ぎて行った。体裁を繕っていてはやめる事はできない。体は回復に向かい、心はシンプルに澄んでいき、私は自分を取り戻し始めた。酒びんは埃をかぶった色あせたものとなっていった。近頃、生きる事に、少し丁寧になった気がする。いらだつことが少なくなり、人も自分もいとおしく思えるようになってきた。自分から逃げられないと悟って、脱皮したような気がする。
飲み続けても一生、やめて生きても一生。自分を生きて、自分として死にたい。
飲んでたまるか!
息子より
飲まず今日も生きているお父さんを立派だと思います
娘より
乗り越えてくれてありがとう。
妻より
飲まないと決めたあなたは、言葉通りきっぱりとお酒を断ちました。その潔さ、その後の努力の日々を思うと胸が熱くなります。傷ついた体と不安な心を抱えながらも、見失いかけた自分を取り戻そうと、ひたむきに努力を続けた5年間でしたね。あなたらしく生きる道を選んでくれてありがとう。まだまだ続く長い道ですが、これからも共に自分らしく生きていきましょう。
スタッフより
自分と向き合う姿に学ばせられます。これからも応援しています。
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