収監者との文通 Aさんへの手紙

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前略
手紙を書くのが遅くなり、大変申し訳ありません。
実は、現在簿記の勉強をしているのです。来る11月13日(金)に3級の試験があり、それに向けて猛勉強していました。3級は参考書一つで勉強していますが、同時に2級の通信教育を10月1日から始めたのです。ちょっと勉強に追われ、なかなか時間が取れなかったのです。
今は少し落ち着いたので手紙を書き始めました。出所するまでには、最低でも2級を取得したいと思っております。
頂いたお手紙を読み、本当に勇気づけられました。又安心もしました。それは自分だけが思っているのではなく他の人も同じ思い、同じ気持ちを持っているのだなと思えたからです。共感できる思いがあるというのは本当に大切なのですね。
それを気づかせていただき、本当に有り難うございます。私も早く皆さんがいるミーテイングに参加したいです。そして、バカラから離れた生活を送りたいです。
過去を振り返ると、本当にバカラで道を間違えたのだなと思います。バカラが原因で会社を辞めたこともあります。
前回の手紙でも書きましたが、21歳の頃は雀荘で働いていました。そこのお客にバカラに連れて行ってもらい、それからバカラに嵌りました。当然、雀荘だけの給料だけでは足りずサラ金などから借金をしました。それも出来なくなると、今度は店長などから借りるようになりました。そんな生活が続く筈がなく毎日の食費にも困るようになりました。食費にも困る、サラ金の返済もある。けどもバカラにも行きたい・・・毎日返済の催促電話が鳴りうなだれていた時に窃盗をしてしまいました。その時はこんなに感嘆に盗れるのかと思い、何度かやってしまいました。当然警察に捕まり、雀荘もクビになりました。今度はしっかりやろうと思っていたのですが、新しい仕事をしても、やはりバカラは止められず、同じ様な生活を繰り返してしまいました。
そんな生活から5回目の刑務所という結果になってしまいました。鈴木さんが送ってくれた手紙の中に東大入試の和訳がありました。難しい言葉ですが、非常に良い言葉だと思います。貴重な文章を教えて頂き、本当に有り難うございます。まだまだ全容を知るには時間が掛かりますが、日々、この文章を読み考えて生きたいと思います。これから寒くなって行きますが、風邪などひかぬ様、くれぐれも注意して仕事の方も頑張って下さい。
では失礼致します。
草々
平成21年11月3日(火)