収監者との文通。Oさんとの往復書簡

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<O⇒鈴木>

前略
先生からのお手紙、4月30日に届きました。急いで出して頂き本当に有り難うございます。
実は5月2日朝から移送前と言う事で工場から離れ、先生からの手紙も一読したのみで荷物にまとめてしまい、今現在手元に無い為、内容への手紙を書けません。本当に申し訳ありません。
先生もお気づきになったと思いますが、私は今月から○○刑務所にて受刑する事になりました。ここで今回の懲役目的である「教育プログラム」を受けることになりました。今月5月中はこちらでの新入教育中になる為、教育プログラムは6月からになると思います。期間はどの位になるか解りませんがしっかり受けて帰ります。私自身は××刑務所だと思っていましたので少々びっくりしました。
これから先どんな教育を受けるのか解りませんが、来月から教育の報告をさせて頂きます。その為、今月は文通での治療は1回休みます。今月は私が移送になった事の報告になりますのでホームページの方は先生にお任せします。
それでは、来月から本格的な教育と文通をやります。それから裏にこちらの住所を書いておきます。大石クリニックのスタッフの皆さんも5月の気持ち良い季節を楽しんで下さい。

草々 鈴木達也様   平成26年5月10日書き 15日出し O

<鈴木⇒O>
O様
前略
○○移送のお知らせ、17日に届きました。ありがとうございます。
再犯防止教育の為の移送との事ですので、受刑生活中の最も核心的な期間になると思いますので、最後まで頑張って教育を受け、学習して欲しいと思います。
大石でも同様の教育プログラムを実施していますが、患者さん達は、学習内容を日常生活での実践によって確信し自信を深めています。しかし所内での教育の場合には、仕方ないことですが学習内容を即一般社会での実践によって理解し確信する事ができませんので、学習した事を出所後に備えて頭と心にしっかり刻み込んで頂きたいと思います。その為に学習した事を出所後の生活で具体的にどう実践するかをイメージしながら学習する事が大事だと思います。
以前やはり性犯で服役しながらこの文通をしていて、出所後大石に通院し再犯の無い生活を続け、今は仕事にも就いている方がいますが、その方も刑務所からの文通をしていた頃から、教育用テキストの内容を出所後の日常生活でどう実践して再犯防止に繋げるかをいつも手紙に書いていました。
この先、梅雨から夏へと季節が移り、不快指数も上がって行く中での教育になるとは思いますが、心身ともにそれに負けない様に頑張って下さい。私も遠くから微力ではありますが出来る限りの応援をさせて頂きたいと思います。
それでは、短文ながら、来月からのお手紙を楽しみに、今日はこれにて失礼します。

草々平成26年5月20日