私の酒害と今 :大石CL外来通院 広瀬儀和

NO IMAGE
画像

 この記事は横浜断酒新生会機関誌 『かたらい』No.47 より、同会および筆者の同意を得て転載するものです。
内容は、H・22年4月11日・市川市文化会館にて開催された社)全日本断酒連盟関東ブロック(千葉)大会にて発表した酒害体験談です。
 『私の酒害と今』     
                横浜断酒新生会瀬谷支部:広瀬儀和
 皆さん、こんにちは。横浜断酒新生会の広瀬儀和と申します。いつもお世話になっております。15分話してくれと言われたのですけど、緊張し過ぎるほど緊張していまして足がガクガク状態で、途中で倒れるかも知れないのですけど(笑い)、ひとつ宜しくお願いします。
 私、今45歳なのですけど、アルコール依存症と言われたのはちょうど30歳の時でした。自分がどうしてアル中になったのかを振り返ると、親父がやっぱり酒飲みでしたね。アル中ではなかったけれど酒ぐせがわるくて、毎晩ベロベロで血だらけになって帰って来て家の中で暴れて、おふくろと夫婦喧嘩して、そういうのがトラウマになって自分では
完全なACだと思っています。そんな中で、自分の性格が内気で人見知りが激しく、人間関係が上手く行かないという、そういうのが子供の頃から出来てしまって、それが今でも治っていないですね。ですから、こういう関東ブロック大会で話す機会を与えて頂いて一つの勉強になると思います。
 話は戻って、30歳でアル中と言われたのですが、それまでに大学を出ましてサラリーマンをやりました。特にやりたい仕事もなく営業の仕事に就きました。自分では出来ると思ったのですが、やはりこういう性格なので営業職はやはり駄目でしたね。それで20代後半ぐらいから酒浸りになってしまって、ちょうど30歳になった頃に自分ではどうにも酒が止められなくなってしまい、どうにもならなくなって横浜の精神病院に行き、そこでアルコール依存症だから入院しなさいと言われました。それで入院しました。そこの病院には2度入院したのですが駄目でした。お酒は止まりませんでした。
 それから色んな精神病院に行ったのですが、どうしてもお酒は止まりませんでした。それで、自分はどうしたらお酒が止まるのか考えました。目が覚めていると飲んじゃうので、眠っていれば飲まないですよね。だから睡眠薬を飲んで、それでなお且つお酒も飲んじゃったんですね。それで頭がクルクルパーになっちゃって、32か33の時に鬱も出ちゃって自殺願望も酷くなって、ある日、睡眠薬を百錠ぐらいウイスキーで一気飲みして、それで三日間倒れて意識不明になりました。四日目に起きたのですが一カ月ぐらい立てない状態でした。その体験があって思ったのですが、これはもう完全に、自殺願望とか鬱、不安、苛立ちの元凶がお酒じゃないかと思いました。一度は死のうと思って失敗したのですが、これから生きて行くには先ず酒を止めなくてはいけないと思って、それで止める覚悟がついたんですね。33歳の時でした。
 それで横浜にあるクリニックに行きました。そこは入院ではなくてデイケアなんですが、三ヶ月間通わせて頂きました。そこで断酒会とめぐり会い、そこの断酒会の先輩に連れられて例会に行き、33歳で断酒会に入会しました。
  しかし1年ぐらいで断酒会を止めてしまったんです。何で止めたかと言うと、入会して半年後に仕事に就いたのですが、その仕事が宅配便の仕事だったので夜中が凄く忙しかったのです。それで例会にも全然出られなくなってしまって、例会は自然退会となってしまいました。その後、5年か6年は一人で断酒していました。非常に辛かったですけど、仕事が朝から晩まで物凄く忙しかったんですね。それが良かったのかどうか、お酒は飲まなかったのですが、何せ一人で断酒しているものですから精神的におかしくなって鬱がまた出てしまいました。鬱が酷くて先生に相談したら、それは病気が再発している状態だから、もう一回断酒会に入った方が良いと言われて、それで今から6年ぐらい前に断酒会に再入会させて貰いました。そして今現在に至っております。
 アルコール依存症というのはお酒だけ止めていれば良い病気だと思っていたのですが、再入会させて貰って、勉強させて貰い、お酒を止めているだけでは駄目なんだなと考えるようになりました。今日の退会テーマは『豊かな心を求めて』というテーマですが、性格は変えられなくても新しい生き方をして行きたいと思います。もっと人を思いやり、人との関わりを上手く出来るように、そういう事を断酒会の中でこれから勉強して行きたいと思います。
 だから、断酒は続いているのですが、心の回復は私の場合まだこれから先の事だと思いますので、どうか皆さんこれからも宜しくお願い致します。
 どうも有り難うございました。
                                                            拍手