収監者との文通 Sさんとの文通
Sさんとの文通
収監者との文通
大石HPトップページおよび
当掲示板、投稿No.555をご参照下さい。
◎ Sさんからの手紙
医療法人社団祐和会 大石クリニック院長 大石雅之様
私は現在裁判の判決を受け、これから、かなりの長期に亘って服役することになりました。これからの服役生活には不安がいっぱいですが、
限られた環境の中で精一杯これまでの自分を見つめ直し、
被害者の方々への償いとともに、今後再び同じ過ちを犯さぬ自分づくりの努力をしてまいりたいと思います。
服役中は、事件の原因となった精神的疾患や、さらに広く「依存症」についての知識を学び、交換の手紙を書き、反省の思いを持ち続け、
出所後は必ず週1回大石クリニックでの治療を受け、ミーテイングに参加し、今後の人生をしっかり歩んで参りたいと思います。
院長先生、相談員の鈴木達也さん、またホームページで縁を持った皆さん、どうか宜しくお願い致します。
2010年11月25日
服役を控えて S
↓↓返書↓↓
Date: 2010/12/02/17:28:58 No.596
Sさんとの文通
収監者との文通
◎ Sさんへの返書
S 様
前略
はじめまして。大石クリニックで文通を担当しております鈴木達也です。以後よろしくお願いします。
今後の治療と更生に向けての強い決意を込めたお手紙を拝読し、微力ながら私なりに出来る限りのお手伝いをさせて頂ければと思っております。
先ずは、頂いたお手紙とこの返書を大石クリニックHP掲示板「あおいくまの部屋」にUPさせて頂きましたので、そのコピーを同封します。
ご自分で書かれた文書でも一般に公開されているとの前提で読み返すと、より客観的な立場で読め、改めて自分を見つめる一つの資料になると思います。
さて、依存症という病気について若干考えてみたいと思います。
世間にあまり知られていないのですが、依存症治療を始めるに当たってどうしても知っておく必要のある病識(病気の知識)の一つに触れてみたいと思います。
それは「どういう人が依存症にかかるのか?」という問題です。世間一般では、アルコール、薬物、ギャンブル、その他の依存症全体について、
一部の意志が弱い先天的な人格障害者がかかるものと思われがちで、だからこそ依存症にかかった当の本人は自分が依存症であるとは認めたがらないんですね。
自分の病気を否認するから当然の帰結として治療に中々繋がりません。でも、Sさんは今、この否認の壁を乗り越えて治療への強い意志を示され、
この文通の継続と出所後の大石での治療への意志を示しておられます。
この治療と回復、更生に向けての意志をこの先も持ち続けて頂きたいと私も強く希望します。
その為にも上に提示した問題=「どういう人が依存症にかかるのか?」の真実の答えに先ず目を向けておきたいと思うのです。
果たして世間で思われている様に本当に「一部の意志が弱い、先天的人格障害者がかかるもの」なのでしょうか?
その答えを求めて、ある資料をご紹介したいと思います。私が以前、大石HPのブログ「大石だより」に投稿した「ドイツ誌に学ぶアルコール依存症」という記事の紹介文を同封しますので一読を願えればと思います。
↓↓ 下へ ↓↓
Date: 2010/12/02/17:23:03 No.595
Sさんとの文通
収監者との文通
<BBS「あおいくまの部屋」をお読みの方は、大石HP/ブログ「大石だより」に上記記事のURLをUPしておきますので、クリックしてお読み下さい。「大石だより」へは大石HPトップページ右下のボタンからお入り下さい>
このブログ記事は「シュピーゲル」というドイツを代表する一流総合誌に掲載された「社長の尿検査」という記事の紹介文です。(私の学生時代の専攻が文学部独文科でしたので今でも趣味程度にドイツの紙誌に触れています)
お読みになっていかがでしたでしょうか?このドイツ誌の記事が「どういう人が依存症にかかるのか?」への一つの答えを示してくれていると思います。
「どんな人がかかる病気か?」との問いかけに記事は「意志の強い努力家でも依存症にかかる」と答えていると思うのです。
つまり、一部の少数者だけではなく、誰がかかってもおかしくないのがこの病気と言えるでしょう。
それは治療の場であるミーテイング会場でも実感できるでしょう。
そこには同じ病気の仲間が沢山集まっています;社会の縮図と言っても良いくらい色々な人達が集まっています。
正に「誰がかかってもおかしくない」とのシュピーゲル誌の答えの通り、そこにはサラリーマンもいれば学校の先生もいるし、
工場労働者もいます。そういう仲間達が共通する依存症体験談に共感しあい、そこから共に病気と闘う連帯感、絆が生まれます。
その事によって一人では止められなかった酒を、ギャンブルを、薬物を・・・止め続けられるようになります。
但し、Sさんの場合は事情によりこの数年間はミーテイングに参加できませんので、暫くはこの文通を通じて回復への希望を胸に抱いて頂ければと思います。
色々、長々と書き連ねてしまいました。今日はこの辺で失礼したいと思います。またのお便りをお待ちしています。この先寒くなりますので、お体には十分に気をつけて下さい。
草々
2010年12月2日
大石クリニック相談員 鈴木達也
Date: 2010/12/02/17:10:00 No.594
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