Kさんからの手紙〜②

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Kさんからの手紙〜②

 そう言えば、3日ほど前の事なんですけど、歯みがきありますよね! その歯みがきをブラシに付けた時に黒い糸クズのような物が付いていたんですよ。チューブから出したヤツにですよ!? 取ろうとしたら潜ってしまったので、そのまま使いましたけど、チューブから出て来たって考えられますか? 因みに房の中には黒い繊維のような物は無いんですけど・・・強いて言えばタオルですかね! でも紫色ですよ! またブラシにつけた時、タオルは下の位置にあり少し考えにくいんですよね! ポジション的にも。なんて、つまらない事を真剣に考えたりして・・・これって余りにヒマだから? それとも拘禁病ですかね? 考え事の好きな俺としては、どうでも良いような事を考えてしまうんですよね。この話の答えは出ないと思うけど・・出せないと覆うけど・・自分で考えて楽しむだけですね。

 夏を迎え、外で運動するようになりましたが、今ですねランチを食べながらラジオでニュースを聞きました。原発再稼動だって! そうですよね、有る物は合理的に使わないとねー安全面はどうすんな!と言う人も居ると思いますが、そこはそれ!日本人の凄いところというか・・・福島が国内で初めてのトラブルでしょうーリカバリーと言うか、日本人が最高に力を出す分野ですよね・・ あと、何ですか? 解散・解散って・・・力を入れるところが違うでしょう―口を開けたら解散・解散、そんな事を考えるヒマがあったら、皆で他の事を考えろって言うの! そうする事で片付くのも出て来ると思うんですけど、そう思わないですか、先生! 足を引っ張る脳しかない政治家なんて必要ないし、昔本に有りましたよね「日本をダメにした政治家」って。他人の足を引っ張って、この事で国の足を引っ張っているって事にいつ気づくのかなー

 又それてしまいました。外の運動ね! ソフトボールが始まるんですけど、残念ながら俺は出られません。腰痛やなんや有ってです。野球少年だったので少し自信はあるんですけど・・・

こばなし;数年前に知り合いに聞いた話。もちろん外での話。西武に松○って居ましたよね。知り合いというのは、その松○と中学の頃同じチーム・・・
何とかユースって言ったかな?そこに居たんです。
 松○って横浜高校が常勝の頃のピッチャーですよ。知ってますよね! 何で強かったのか? 松○のいたリトルリーグのチームは全国でもトップクラスで強かったんだと・・・その時のメンバーの殆どが松○の誘いで横浜高校に入ったんだと!そうなると当然のように強かった訳で・・・松○がプロに行く為の手段と言うか作戦だよね! 凄い奴です松○大輔・・・ おしまい

           陽の射す土曜日 記  草々
↓返書 

Date: 2012/06/25/14:01:27 No.774

Re:収監者との文通

Kさんへの返書

K様
前略
 Kさん、こんにちは。
お手紙、6月23日に届きました。いつも有り難うございます。いつもながらのK節というか、底抜けに明るい文面を今回も楽しく読ませて頂きました。
 そうですか! 独居で悠々自適の一人暮らしで、ラジオも聴けるんですか!? 親父(担当)さんも、薬の話から離れて静かに過ごしたいというKさんの思いを汲んでくれたのでしょうね。

 ユンケルモドキ(抗酒剤)で依存中毒にならないか?との話ですが・・・抗酒剤+アルコールで死ぬ思いをしても、その段階ではまだドーパミンが脳内に溢れないので、死に際の快楽を味わう事も無く、依存中毒になることはありません。抗酒剤+酒で味わうのは、死をも予感する苦痛だけです。

 「長生き」と「薬」を天秤にかけると、「長生き」の方が重いとの話、私も思わず襟を正して読ませて頂きました。私自身も同じような思いをした経験があるからです。私の場合は、天秤にかけたのは「薬」ではなく「酒」だったのですが、天秤にかけたもう一方はやはり「長生き」でした。アルコール依存症者が飲み続けた場合の平均死亡年齢は52歳と言われています。「人生80年時代」と言われている中で、飲まなければまだまだ生きられた筈の約30年という人生をバッサリと断ち切ってしまう訳で、何とも勿体ないと言う以外に言葉が見つかりません。

<私の体験談> 
 私は、飲兵衛アル中時代の最後の5年間、毎日一升近い(約9合)酒を飲み続けていましたが、断酒後まもなくの病院での講義でこんな話を聴きました。
『3合の日本酒を飲んだ場合、肝臓がそれを解毒(無毒化)するのに8時間かかります』と。その話を聴いた時、私は自分の過去を振り返って愕然としました。『3合で8時間なら、3倍の9合なら、解毒時間は当然8時間の3倍の24時間になる!!』訳です。つまり、私の肝臓は5年間にわたり、来る日も来る日も、毎日毎日24時間ぶっ通しのフル稼働でアルコールの解毒作業を続けていたわけです。私は思わず自分の腹部(肝臓)に手をあて、自分の肝臓に三つの言葉をかけました。
◎「長い間こき使ってしまって悪かった、ごめんなさい」
◎「それにしても、今日までよくもってくれた、ありがとう」
◎「これからは、自分の息子のように大事にしてやるからな!!」
息子なら名前を付けてやらねばなりません。そこで私は自分の肝臓に名前を付けてやりました。付けた名前は、『鈴木カンゾウ』でした。あれから17年、我が息子・カンゾウは17歳の高校生になり、青春を謳歌するように元気な毎日を送っています。
17年前の7月22日のあの日に専門病院に繋がらず、一人では止められなかった酒をあのまま飲み続けていたなら、私はとっくの昔にあの世に旅立っていたでしょう。そして、Kさんとも巡り会えず、もちろん、この文通も出来なかったでしょう。私も「酒」と「長生き」を天秤にかけ「長生き」の重さを痛感したからこそ、今こうしてKさんへの手紙を書き続けていられる訳で、この喜びを一瞬とも忘れてはならないと心に銘じて、これからも断酒を継続したいと思っています。           <以上、私の体験談でした。>

 Kさんの「薬」と「長生き」を天秤にかけるとの話に答えるには自分の体験談を話すのが一番良いと思って書きました。「薬」と「酒」で多少の違いはあっても、基本は共通しています。Kさんも「長生き」の重さを心と頭に深く刻み込んで断薬人生を歩み続けて欲しいなと本当に心から念じています。
ところで、Kさんの新しい楽しみ:「第2ステージ」って何でしょう? 薬を断った後に頭の中にに生じる空白部を何か他の物で埋める必要があります。そうしないと、その空白部に再び薬が入り込んで来ます。それを防ぐ為に薬や酒、ギャンブルのような破滅的なものではない、建設的な楽しみが必要です。その意味で人生の「第2ステージ」はすごく大事だと思います。

 腰痛辛いですね。大事にして早く良くなってください。「インドメタシン」を使っているそうですが、この薬は鎮痛・解熱・抗炎症作用を持つ薬として広く知られていますが、あまり効かないとするなら、やはり「薬」が原因かも知れませんね。私は医師ではないので、もちろん断言はしませんが、そう思うのも断薬の動機の一つになるかも知れません。私も何か身体に不調が出ると、その根源は酒に有ると考えるようにしています。酒は「ぬれぎぬだ!」と言って怒っているかもしれませんが(笑)、そう考えた方が断酒の為になると思っています。ちょっと風邪をひいても、「これは昔の酒が抵抗力を奪って、加齢に伴ってそれが尾を引いているのだ」と思うようにしています。
 余談ですが、インドメタシンの語源は、インドの藍色染料「インデイゴ」の分析からこの薬が誕生した事に由来するそうです。やはりインドに関係した薬剤なんですね。

 港横浜は梅雨空が続き、空と海の色が同じという日が続いています。梅雨が明けると猛暑の夏がやって来て、しばらく辛い陽気が続きますが、それに負けないよう、私も酒なしのシラフの生活の中でKさんをはじめとする皆さん(6人)との文通を続けたいと思っています。Kさんも夏に向けてお体くれぐれもご自愛下さい。今日はこの辺で失礼します。
                                               草々

        平成24年6月25日
         大石クリニック相談員 鈴木達也・

Date: 2012/06/25/14:29:56 No.776