収監者との文通：Ｍさんとの往復書簡　Ｈ27/7/8

＜Ｍ⇒鈴木＞
前略
　梅雨が来たのか、過ぎたのか、先に夏が跳び越えて来たのか、最近はとても蒸し暑く、炊場は正にサウナ状態。部屋では暑いのか、虫や小バエ的なものが涼みに来る。
　さて、簿記の勉強は何か詰まってしまったのでストレスになって来てしまい、リフレッシュの為にソロバンも始めました。本当、良いリフレッシュになる。両方覚えられるので都合良い。ただソロバンは大昔の小学校の低学年のころにやったくらいで忘れていたが、やり出すと体が少し覚えていた。集中力がかなりつく。ただ指が少し太くなった今珠を弾く時、手こずる。
　ソロバンは右脳を使うらしいのですが、私もすぐに右脳辺り？が痛くなる気がする。今のところ中々面白いので続けられそうだ。
　仕事面では、前回のお返事とても参考になりました。有り難うございます。１０人居れば１０通りの考えがあるので、一人一人にあった教え方、接し方がありますね。一人一人に伝えるのが難しい。皆に同じ伝え方ではいけない。中々伝わらなくて手強い時もあるが、まー、焦らず落ち着いて一つ一つ進んでいる。理想的ではないが、一歩ずつ確実に前へ進めるようにして行きたいと思う。
　今後の私の課題は、皆に同じ事を伝えるだけでなく、個々の人が出来ない真の原因は何で、どのようにすれば積極的に働き、ミスを最小限にできるのか考えなければならない。人が代わり、前よりも大分レベルが下がって来て、本当に今は大変です。私が変わらないと皆も変われない気がする。結果は後からついて来ると思うので今もうひと踏ん張りしたいと思う。
　あとは暑くなって来たので小まめに水分を摂って体調を崩さないよう生活して行きます。
　まもなくと言うより、もう夏ですね。どうか御身大切になさって下さい。熱中症などにも気をつけて下さい。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　草々

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＜鈴木⇒Ｍ＞
Ｍ様
前略
　Ｍさん、こんにちは。梅雨空が続き七夕の空を見上げても天の川は見られませんでしたが、それだけに心だけはいつも晴れやかにと願い、努めている昨今ですが、その心を明るくして頂けるお手紙が7/8に届きました。いつも本当に有り難うございます。
　
簿記２級の勉強の中での壁を乗り越える気分転換にとソロバンの練習を始めたとの事、壁の前で挫けない為に賢明な方法だと思います。何よりも、面白く楽しんで珠を弾いているというのが良いと思います。何事にも楽しむ事が継続の秘訣ですので、楽しみながら長く続けて欲しいと思います。
今や計算と言えば電卓が当たり前みたいな時代ですが、それでもソロバンの学校とか塾みたいな所があるそうで、やはり集中力を付けるとか脳神経を鍛えるとか、年配者の場合にはボケ防止といった意味もあり、ソロバンの存在意義は決して失われていないようですね。

　作業の責任ある立場で、一人一人の作業メンバーの個性に気を配りながら全体をまとめて行くのは本当に大変な事だと思います。決して口で言う程に容易な事ではないでしょう。でも、その努力が伝わるだけでも周囲の信頼を得て組織を前に進められるのではないかと思いますので頑張って下さい。
お手紙にも書かれているように「結果は後からついて来る」の思いで良いと思います。努力を続ける限り、今日でなければ明日、明日でなければ明後日・・・と、いずれは結果が出るだろうくらいに気持ちに余裕を持って一日一日の歩みを続けていければ良いかと思います。

　本当に、もう夏か、夏近しの感じで、テレビの天気予報でも、熱中症に「厳重注意!!」などと、まるでどこかの組織での「処分」みたいな厳しい言葉で注意を呼び掛けています。熱中症というのは意味的には脱水症ですので水分補給に「厳重に注意」してこの夏を乗り切って行きましょう。それでは簡単ながら今日はこれにて失礼します。

草々　

平成２７年７月９日　
大石クリニック相談員鈴木達也