収監者との文通 Bさんからの手紙

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収監者との文通

Bさんからの手紙

鈴木達也様

 新年明けましておめでとうございます。
 寒さも本格的になってきましたが、私は元気にやっています。鈴木さんはいかがお過ごしですか?お身体は大丈夫ですか?

 昨年1年は職業訓練など色々と勉強をして社会に出た後の為にとやって来ましたが、今年も何か訓練を受けようと考えています。

 又、鈴木さんには本当に1年間手紙を通じて自分の改善すべき事に対し助言を頂きお世話になりました。本当にありがとうございました。今年もどうぞよろしくお願い致します。
                              平成26年1月7日   B

Date: 2014/01/19/19:14:12 No.1179

Re:収監者との文通

Bさんへの返書

B様
前略
  ご無沙汰しています。1月7日付のお手紙18日に届きました。新年のごあいさつ有り難うございます。本年もよろしくお願い致します。

  昨年は職業訓練や再犯防止教育など充実した1年を過ごされたと思います。今年もまた新たな訓練をとの意欲を持って新年を迎えられたようですが、何か興味のある事に挑戦して頂ければと思います。昔から「好きこそものの上手なれ」と言いますが、人間、好きな事、興味のある事は意欲的かつ長期的に継続する事が出来るので、その道で上達する事が出来るわけです。そんな何か新しい訓練が見つかったら、また是非お手紙でお知らせ下さい。

 以前のお手紙で、出所後の環境変化に向けての不安を述べられていましたが、今はいかがですか?その種の不安は一人で抱え込んでいると、考えても考えても解消せず、逆に不安は増大しますので、この文通で遠慮なく吐き出して頂ければと思います。
 私も、19年前に断酒を始めたばかりの頃は、酒で体は弱り仕事もできず、実家でのニート暮らしを余儀なくされ「この先、この俺はどうなってしまうのだろうか?」と不安のかたまりになっていました。その堅いかたまりを毎日毎日、コネコネ、コネコネとこねくりまわし(笑)柔らかくして不安を和らげてくれたのは、同じアルコール依存症の治療仲間の集まりである自助グループAAの仲間達でした。同じ依存症で同じような苦しみを味わって来た仲間達が日々の断酒を継続し、いわゆる「アル中」のイメージを感じさせない姿が私を勇気づけてくれました。
  Bさんの出所後を考えても、一般社会には確かに種々の誘惑、再犯への落とし穴も多いとは思いますが、依存症専門治療や同病の仲間達との触れ合いの中で培われる絆が再犯に落ち込まない命綱となりますので、それを出所後への心の支えとして、先ずは今の一日一日を大切にして、日々の刑務作業や職業訓練などを通じて、出所後の社会復帰に向けての土台作りに励んで頂きたいと思います。

真冬の寒さが続きます。何事も健康が前提となりますのでお体には重々気をつけてお過ごし下さい。次のお便りを楽しみにして今日はこれにて失礼します。
草々
平成26年1月20日
大石クリニック相談員 鈴木達也

Date: 2014/01/19/19:49:51 No.1181