Aさんへの返書

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管理人

ギャンブル依存症関連の犯罪で拘置中のAさんから当院に寄せられた手紙(投稿No212参照)への返書を公開します。

A様
 初めまして、私、大石クリニック職員でHP担当の鈴木と申します。今後宜しくお願いします。
 お手紙拝読しました。ご返事が遅れて申し訳ありません。Bさんの手紙を読み返しながら、お元気でお過ごしの様子、何よりと存じます。
 Bさんの言う『他人と関わる事』についてのお尋ねですが、Bさんは事情で他院に転院しており、連絡がつき難い状況ですので、当方でBさんの心を推察してお答えします。

≪他人と関わる事について≫:
先ず、Bさんの手紙の、≪③回復について≫の上の14行目から5行ほど引用します。

 『・・・私達のように夢の世界で(良い意味ではありません)PLAYERやBANKER、DROWなど、今から考えれればどうでも良いことに全てを賭け、トランプカードを絞り続けて来た人間はかなりの時間をかけて治療しながら≪現実世界で生きる訓練から始めないと≫、又ギャンブルへと走りがちですね。そしてスリップという事を繰り返しがちになりますね。・・・」と書かれています。

 Bさんの言う『他人と関わる事』とは、引用文中の≪≫内に書かれている「訓練」の一環としてという意味でしょう。Aさんは今回の手紙で、過去において1年近くバカラを止めていた時に他人との関わりを意識しなかったと書かれています。つまり、特に他人との関わりが無くてもバカラを止められた時期があったという意味ですね。又、バカラをしない友人とも遊びながらもバカラに嵌っていたとも書かれています。つまり、バカラをしない友人との遊びという関わりの中にあってもバカラに嵌り続けていたわけですね。他人との関わりとバカラの間に関連がないと考えておられるわけですね。しかし、他人・友人との関わりを、バカラを止めて≪現実世界で生きる訓練≫として意識し、実行した事があったでしょうか? 恐らく、それが無かったから、やはりバカラを止められずに同じ事を繰り返してしまったのではないでしょうか?
 出所後の治療の中では、その訓練としての『他人との関わり、特に、ギャンブルを止めたいと願い、その方法を実行している他人=仲間との関わり』が中心テーマとなります。Aさんが過去に経験した事が無い『他人との関わり』が始まります。
 アルコール依存症者の自助グループである横浜の断酒会には、断酒年数に応じての表彰状という物があります。その一節に『・・・この時の流れは貴方を全く新しい世界へと解放してくれました・・・』と書かれています。そうなんです。Aさんが今までに到達出来なかった、断ギャンブル・バカラを継続して回復するという全く新しい世界に向けて第一歩を踏み出す為に、今までに経験したことのない新しい仲間との出会い、関わりがAさんを待っています。これから始まる刑期をその準備期間として心の準備をして頂ければと思います。
                     敬具
  平成21年2月10日
     大石クリニック相談員・HP係 鈴木達也

追伸:
米:同封の①、②について
①は、大石クリニックHPのトップ画面です。
右上のInformation欄で、今回のAさんの手紙を掲示板『あおいくまの部屋』に掲載した旨のお知らせをしています。②は掲示板に公開したAさんの手紙です。
米:上記①で、Aさん宛の体験談を募集しているのですが、現在まで応募がありませんので、募集の対象とする依存症をギャンブルのみでなく、依存症一般に広げてみたいと考えております。ギャンブル以外にもアルコール、薬物、買い物、SEX、・・・等々依存症がありますが、各種依存症は基本部分で共通しておりますので、他の依存症体験談でもAさんのお役に立つかと思います。そういう事情ですので、他の依存症者の体験談はもう暫くお待ち下さい。
 もう暫く寒い日がつづきますが、、風邪などひかないように体調に気をつけてお過ごし下さい。又のお便りをお待ちしています。こちらからも書きます。

Date: 2009/02/19/14:15:29 No.227